子供が通う小学校校区内で敷地を探していた当時、この場所にも来たことがある。
当時から売りに出されていたこの場所は、不動産情報誌のアバウトな位置情報を頼りに散策している時に出会った。車が通れる道から伸びた路地の奥の方に周囲の建物に囲まれる形で所謂「空地」感を漂わせていた。接道している路地は軽自動車がギリギリ通るぐらいの幅員のため道路反対側の家とも距離が近く道路の存在感が薄い。だから本当に住宅街の中でスポンと切り抜かれた余白のような場所だった。
第一印象は、「ここは無いな」と。
他にも売りに出ている中古住宅やもっとひらけた場所にある敷地が候補としてあった為、その時は「道が広ければいい場所なんやけどね。」のような言葉を嫁と交わして終わった。
しかしながら、別の敷地での計画が地主の心変わりで破断になり、中古住宅の改修はコストが合わず断念。(サイタハウス1~3)
振り出しからのスタートとなり、コンビニで不動産情報誌を買い、インターネットでも不動産情報を漁る日々。そんな中でこの場所と2回目の出会いを果たす。
地方の車社会に生きているせいかどうしても駐車場の確保や車の動線を考えがちになっているが、考えてみれば車の入りにくい路地はヒューマンスケールの心地よさがあるし、何より一日観察していても車は一台も通らず、乳母車を押したおばあちゃんが通過する程度なので小さい子供のいる我が家にとっては子供が道路に飛び出す心配をしなくて良い。さらに道が狭いというだけで周囲より土地代が安価に設定されていて、周辺の月極駐車場を利用し続けてもコスト的に見合うことも大きかった。そんな感じで考えなおした結果、この場所に居を構える決心をする。

敷地は奥まった場所にあるが、住宅用地としては比較的広いため出来る限り地面に近い所で生活したいと考え平家案を基本に計画が始まった。四周に閉塞感があるためそれぞれの境界から適度な引きを取り、かつどの面も駐車場や庭といった個性を持たせることなく同等に扱うことで建物の裏面が顕在化しないように務めた。しかし平屋だけでは必要な空間を確保できないことが分かってきたので子供のスペースだけを2階に持ち上げひな壇上に1階よりオフセットさせている。それにより2階レベルで敷地境界までのアキが確保できプライバシー、採光、通風面で有利になっている。
また、建物中央で不足する採光を得るために2階より持ち上げたトップライトを設けることで内部から見上げた時に空だけを切り取れるように工夫した。この光井戸を中心に家族のアクティビティが生まれることを期待している。
内壁は構造用合板とビニルクロスで仕上げられているが、ビニルクロス部は将来的にも変化しない壁である一方、構造用合板部は将来において可変性を孕んでいる。逆に言えば、竣工時の状態が一時的なものであり、家族の成長等に伴い装置のように変化する壁と捉えている。

完成年月2015年1月建物規模地上2階建 124.45 m2所在地徳島県鳴門市担当谷紀明施工(株)野々瀬プランニング構造形式在来軸組工法構造設計設備設計設計期間2013年12月~2014年6月

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